でのじブログ

ウェブデザインの“で”の字から知っていこうとするブログです。 フィルムカメラや映画・映像についてもつらつらと書いていきます。

言葉で説明しやすいデザイン、という考え方

以前こんなブログ記事を書きました。denoji.hatenablog.jp


その中で
「第三者への説明のしやすさ」というのは、デザインをする上で非常に重要なポイントになってきます。」と書いたのですが、今回はこれについて考えていきたいと思います。

デザイン業務に従事していると、社内・社外問わずデザインの意図を「説明する」機会が多くあると思います。
私は主に社内のディレクターや、デザインチェックをしてもらう先輩デザイナーに対して説明することが多いです。誰にも説明せずにデザインを出すことの方が少ないと言っても過言ではありません(まだまだ勉強中の身というのもありますが)。


段階が進んで、完成間近の微調整になると
「これをもう少し大きくして」
「それは気持ち右にずらして」
といった細かな指示も増えてきます。


そういったとき、感覚だけで大きくしたり、位置をずらしたりすると
先輩デザイナー「ここ大きくした?」
自分「はい、先ほどの指示通り少しだけ大きくしてあります」
先輩デザイナー「もう少し大きくしようか」
自分「あ…はい」


提出締切が近づいていく中で、こういった細かな戻しは(お互い)消耗してしまうものです。
こういったことを減らす一つの方法として、言葉で説明しやすいように修正してみるとどうでしょう。


自分「少しだけ大きく、ということだったので、110%程のサイズにしています」
自分「気持ち右に、ということで5pxだけずらしました」


具体的に言葉にしやすい修正(ここでは具体的な数字を用いた修正)にすることで
デザインをチェックする方としても修正の過程がイメージしやすいのではないでしょうか。

もちろん、説明することに引っ張られてデザインの幅を狭めてしまうのは本末転等ですが、あくまで一つの手段として自分はよく使う方法です。
また修正する側の身としても、「少しだけ」や「気持ち」といったニュアンスを具体的にデザインに落とし込む際に判断を早くすることにつながっているように思えます。目視だけだと限界がありますからね。


デザイナーに成り立ての頃は「見ただけで伝わるデザインを!」なんて息巻いてましたが、それって余程のことがないかぎり非現実的な考えなんですよね。
デザインを依頼するクライアントさんにしても、「どういう意図でこういうデザインになったのか?」は気になると思いますし、コミュニケーションをとるディレクターにしても、(クライアントさんに対して)「デザインできました」だけで終わることはないでしょう。
デザイナー→ディレクター→クライアント→クライアントの上司→そのまた上司→よりも上司→・・・と、サイトが公開されるまでには何人もの承認をとる必要がありますよね。クライアント側のデザイナーが判断することもありますし、代理店が間に挟まることもあります。
その全員が、余程デザインに無頓着だったりしない限り、言葉で説明する機会というのは必ずあります
その際に、「説明しやすいデザイン」というのは非常に有効な考え方だと思うのです。


なんてことを言いつつ、やはり感覚的に「こういうのが格好良い!」だったり「こういうデザインにしたい!」という思いがあるのも事実です。そういった場合、デザインありきで後から説明をこじつけることも正直あるのですが、なんとなく採用率は低いように思えます。
また個人的に、いいデザインというのは説明しやすいとも思っています。
説明しやすいということは、それだけ目的が絞れているとも言えます。


この記事を書きながら、この本のことを思い出しました。www.amazon.co.jp
経営学部出身の有馬トモユキさんの著書です。学生時代デザインを専門的に学んでいたわけではない有馬さんだからこその、デザインを一歩外から見つめている視点がわかりやすくて、好きな本でした。


あぁ、明日もデザインを言葉で説明する機会があるんだろうなあ…なんてしみじみ思いながら、今日はお風呂に入って寝ようと思います。