ハイクオリティな“HUB型”動画 〜ホテル椿山荘『父と娘』〜
昨年、近しい方の結婚式に詳細されて、ホテル椿山荘に行く機会がありました。明治時代から続く場所だけあってとても素敵な雰囲気。また新郎新婦の優しい表情を見て、何だか幸せな一日でした。(上の写真はニコマートにて撮影。フィルムはフジの業務用 ISO100)
ショートムービ『父と娘』
式に参加する数日前に、行き方を調べるために椿山荘のウェブサイトを見ていたのですが、そこでこんな動画を見つけました。
ホテル椿山荘の『父と娘』というショートムービです。
父と娘の二つの視点から描かれるストーリー。二人がそれぞれお互いに対して抱える「どうして?」という疑問によって描かれているのですが、その問いに対する答えは最後まで(言葉では)明らかにされません。
しかしこのムービーを見終われば、その答えを見つけられると思います。またそれは人それぞれ異なる答えになるように思えます。
画によって語られるストーリー。これぞ映像ですね。
監督は湯浅弘章さん。最近だと乃木坂46のミュージックビデオなど手がけられているようですね。娘役は小林涼子さん(ちょっとファンです)、父役は佐藤旭さん。お二人がまた素晴らしい…!
娘がいるわけでも、結婚を控えているわけでもないのに、見るたびに目頭が熱くなるのはなぜ。
言葉で語られない分、自分の想像で補おうとするのかもしれませんね。その時に自分がこれまで遭遇してきた場面だったり、体験だったりがつながってくるのかもしれません。
HHH戦略で言う「HUB型」動画
ここ三年で10倍に増加したネット動画広告市場ですが 、そんな中Googleが「HHH戦略」というものを動画制作において提唱しています。
このショートムービー『父と娘』は、結婚式場を比較検討している潜在層に対して、情感溢れる物語を見せることで気持ちの高揚を狙っているように思えます。
主として認知度向上を狙う「HERO型」とも言えるかも知れませんが、いずれかのフォーマットに当てはめるとしたら「HUB型」ではないでしょうか。
動画の勢いは2016年も止まらなそう、だけど…
ここ三年で10倍となったネット動画広告市場ですが、今年もその勢いは変わらないでしょう。
様々なサイトで動画が使われているのを目にしますが、誰でも簡単に取れる時代ということもあって、しばしばクオリティの低いものも目にします。三脚ぐらい立てようよ…と、そんなレベル。
目新しさだけで動画に飛びつくフェーズは既に終わっていることを踏まえて、今回の『父と娘』のようなハイクオリティな作品を期待したいですね。
映像が「目的」ではなく「手段」になっている?
ネット動画広告市場が拡大する一方で、映画産業はあまりパッとしない印象がありますね。数字だけ見ると興行収入は落ち込んできているわけでもないようなのですが、肌感覚として「お金を払って映像(映画)を見る」ということが日常的でなくなったように思えます。
映像(映画)のために人が動くのではなく、映像によって人を動かす時代なのでしょう。そうすると制作する上での方法論もまた変わっていくと思うのですが、モンタージュ理論を基礎にした元来の映画のような撮り方は、希薄なものになっていくのかもしれません。
今後の動向もウォッチしていきたいと思う今日この頃です。